日本人が好むブルー&ホワイトの色調、格調高い金彩・・・冒頭のティーセットの写真を見て、どこのブランドのもの!?と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
「インペリアル」という名前からわかるように、皇帝に愛された窯で、270年以上の長い歴史を誇るロシアのブランド。2000年代に入って現在の名前に変更するまで「ロモノーソフ」と呼ばれていた「インペリアル・ポーセリン」です。
今回はインペリアル・ポーセリンの歴史や、上記写真にもある代表作「コバルト・ネット」のデザインに裏にあった悲しい秘話など、これまで日本では知られていなかった詳しい情報を余すところなく紹介します。
あなたの知らない、華麗なロシア磁器の世界にお連れします!
フランス宮廷の世界がお好きな方、マリー・アントワネットのために作られた食器の「復刻版」が手に入るってご存じですか?
「ロワイヤル・リモージュ」というフランスの王室御用達窯は、歴史と伝統に培われた高い技術のもと、世界各国の美術館に展示されている作品の復刻を許された窯なのです!
フランスの文化的遺産といっても過言ではない傑作デザインが手に入るとは、夢のような話ですね。
今回は「ロワイヤル・リモージュ」の歴史や、人気の食器セットそれぞれにまつわるエピソードなどを紹介します。
超一流の窯がフランスにあるのをご存知ですか?
その名は「セーヴル」。
食器が好きでも初めて耳にする方もいらっしゃるかもしれませんね。
それもそのはず。大量生産はしない窯で、作品自体がかなり希少な逸品だからです。
マンガ「ベルサイユのばら」などフランスの宮廷文化や女性的なロココ調デザインがお好きな方、必見ですよ!
「ロココ」とはつる草や貝殻をあしらったロカイユ模様から発した言葉だと言われています。
フランスの貴婦人たちによってブームになった淡いパステルカラーを多用した優雅で雅やかなスタイルです。
フランス国王ルイ15世と妃マリー・レクザンスカの長男であるルイ・フェルディナン(Louis Ferdinand de France、1729-1765)は、生まれながらのドーファン(Dauphin、王太子)として誕生しました。
有名な愛人だけでもポンパドゥール夫人にデュ・バリー夫人などなど、数多くの愛人を持ったことで知られる奔放な父王ルイ15世とはタイプの違う人物であったというルイ・フェルディナンは、ローマ教皇とイエズス会の保護を行っていたというほど敬虔なカトリックで厳格な人物だったのだそう!(顔はそっくりですが、性格は真逆な親子だったんですね)
ジョゼフィーヌ(Joséphine de Beauharnais、1763-1814)は、いわゆる没落貴族の娘として、マルティニック島のトロワ・ジレに生まれます。
生家は経済的には困窮していたものの、もって生まれた人目を惹く美貌を活かし、生涯を通じて様々な男性を魅了し、派手で豪華な暮らしを送ります。
また、彼女の魅力は、その美貌だけではありません。彼女と一緒になった男性は幸運に恵まれ、別れた男性はツキに見放されるという不思議な体質。
マリー・アントワネット(Marie-Antoinette、1755-1793)は、オーストリア皇帝のフランツ1世とその妻マリア・テレジアとの間に、第15子としてウィーンに誕生します。
オーストリアとフランスは、数百年間にわたって、ヨーロッパ大陸での覇権を争う宿敵関係でしたので、一旦は同盟関係を結べたものの、いつ瓦解してもおかしくない状態のため、早いうちに一層の関係強化を図る必要がありました。
そこで白羽の矢がたったのが、オーストリア側は14歳のマリー・アントワネット、フランス側は15歳の王太子(後のルイ16世)です。幼いマリー・アントワネットは、両家融和の象徴として、フランスに輿入れすることになります。
ジャンヌ・アントワネット・ポワソン(Jeanne-Antoinette Poisson、1721-1764)、これがポンパドゥール夫人の誕生名です。
ポンパドゥール夫人は、平民という身分ではあったものの資産家の出身であり、貴族以上の教育をうけ豊かな教養を身につけ、19歳の時に徴税請負人のシャルル=ギヨーム・ル・ノルマン・デティオールと結婚します。
そこから、自分の美貌と頭の良さ、センスの良さをフル活用して、時の国王ルイ15世に取り入り、立身出世を果たしてくのです。
リモージュ焼きといえば、透き通るような白磁に、クラシックで優雅な絵付けがほどこされた気品あるデザインが特徴的です。
このリモージュ磁器の誕生は1765年〜1770年頃と言われ、リモージュ最古の窯「ロワイヤル・リモージュ(Royal Limoges)」をはじめ、「ベルナルド(Bernardaud)」、「アビランド(Haviland)」、「レイノー(Raynaud)」、「ロールセリニャック(Laure Selignac)」などフランスを誇る老舗窯が、今もなお多数存在しています。
さて、ではこのリモージュでなぜ磁器生産が盛況したのでしょう。
パリ西部近郊、セーヌ川に面したところに位置するセーヴル(Sèvres)は、イル=ド=フランス地域圏オー=ド=セーヌ県に属し、現在は閑静な住宅街として人気のある地域です。
そしてここには約300年の歴史を誇るフランス王立セーヴル窯があり、今もなお、フランス国家機関や、国の贈答品向けに製造が続けられています。
さて、そんなセーヴルで一番の見所は、やはり国立陶磁器美術館(Musée national de Céramique)でしょう 。
デュ・バリー夫人(1743-1793)は、それまでフランス国王ルイ15世の公妾として社交界の華と称えられたポンパドゥール夫人が42歳の若さで亡くなった後、公妾として取り立てられた美女です。
「公妾って、要するに愛人のことでしょう?どうせ見た目だけでしょう。なんか頭悪そう。」、などと侮ることなかれ。
現代ではセーヴル、リモージュなどの名窯の作品を目にする機会が多く、サン・クルーの磁器は一般的にあまり知られていません。
しかし、ここサン・クルー窯はフランスで初めて軟質磁器を生産した窯と言われています。