白い黄金と称えられた白磁器の製法がヨーロッパで初めて解明され、現在のドイツ・ザクセンのアウグスト強王がマイセンを創設してからおよそ30年、ロシアでは初となる陶磁器窯が誕生!
それがロシア最古の歴史を誇る名窯インペリアルポーセリンです。
インペリアルポーセリンは、1744年、女帝エリザヴェータ(Elizabeth Petrovna, 1709-1762)の命により皇帝専属の陶磁器工房としてペテルブルク郊外に創設されました。
実は、その長い歴史の発端は彼女の父である初代ロシア皇帝ピョートル大帝の時代までさかのぼります。
膨大な磁器コレクションを集め、マイセンを創設するなど、"強健王"として有名なアウグスト2世と、彼の妃クリスティアーネの間に唯一の子どもとして誕生したアウグスト3世(August III Sas、1696-1763)。
政治の世界での鬱憤を晴らすかのように、アウグスト3世は、芸術を愛し、ザクセンの都ドレスデンにヨーロッパ屈指のコレクションを築き上げ、ドレスデンを芸術の都として今日の発展の礎を築き上げます。
ザクセン選帝侯としてのフリードリヒ・アウグスト1世(Friedrich August I)と、ポーランド・リトアニア共和国の王としてのアウグスト2世(August II Mocny)という2つの顔をもち、"強健王"や"ザクセンのヘラクレス"などとも呼ばれるほど驚異的な怪力の持ち主としても有名なアウグスト強王(1670-1733)。
その異名を証明するため?!しばしば蹄鉄をへし折って見せ、自慢していた!という驚きの逸話も残る彼は、1670年にザクセン選帝侯領の首都ドレスデンに生まれます。
この当時のロシア帝国というと、西ヨーロッパ諸国と比較して「遅れた国」と認識されていました。
今の、「強い国、ロシア」というイメージからは程遠い、田舎の国だったんですね。
では、いつからロシアが強い国の仲間入りをしたのかというと、その基盤はエカテリーナ2世の統治下で築かれていったのです。