国王ジェームズ2世が即位する前に妻アン・ハイドとの間に娘を二人もうけましたが、妻は若くして死去してしまいます。
そこで、王位継承者となる男児を得るため、また、この頃カトリック信仰を公表していたジェームズにとっては、どうしても同じくカトリックである妻を迎える必要があったため、再婚相手として選ばれたのがイタリアの名門エステ家のメアリ・オブ・モデナ(1658-1718)でした。
イタリア語名をマリーア・ベアトリーチェ・デステという彼女は、黒髪ですらりと背が高くスタイルの良い女性でしたが、このとき40才であったジェームズに対し、花嫁はなんと25才年下の15才!
メアリ2世(1662-1694)は、夫と共に即位し、ふたりで共同統治を行ったことで知られるイングランド女王です。
イギリスの歴史上、夫婦が平等に国王と女王として「共同統治」を行ったのは、この夫ウィリアム3世と妻メアリ2世の時代のみです。
メアリ2世の伯父であるチャールズ2世は前々国王、父であるジェームズ2世は前国王、3才年下の実の妹はその後のアン女王、と家系だけみれば非の打ちどころのない華麗なる一族です。
しかし、彼女の即位までの経緯は、いろいろな利害関係と思惑がからみあった綱引きの結果であり、統治後も気苦労の絶えない人生であったようです。