出典:デンビー本国公式サイト(インペリアル・ブルー)
「食器は割れものだし、子どももまだ小さいから、新しいものがほしくてもなかなか買う勇気がない・・・」、「本当は洋食器がほしいけど、和風な我が家には似合わないから買うのを諦めている」。
食器が好きでも、実はそんな風に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
そんな方に朗報!もし、あなたがそう思っているなら、イギリスの「デンビー」というブランドがそのお悩みを全部解決してくれますよ!
「デンビー」は日本ではまだあまり知られていませんが、イギリスではとても有名な食器ブランド。「ストーンウエア」という、文字どおり石のように硬い素材で作られているから耐久性に優れているのです。
そのうえ、創業から200年以上、同じ場所で、職人が同じように手仕事で生み出す「メイド・イン・イングランド」を貫いているのに、日本の食卓や和食器にも自然になじむ質感と色合いの食器!
今回は、「デンビー」を語る上では欠かせない「ストーンウエアとは何ぞや?」というお話から、デンビーの歴史や特徴、人気シリーズを一挙、紹介します!食器を買うことを躊躇していた方、必見です!
19世紀の産業革命の頃から代々、受け継がれている技術でイギリスの職人がハンドメイドしている
出典:デンビー本国公式サイト
イギリスには、ウェッジウッドに代表されるように、有名な老舗食器ブランドがいくつもありますが、デンビーもその一つ。
デンビーはイギリスのほぼ真ん中に位置するダービーシャー州(Derbyshire)で1809年に産声を上げました。ダービーシャー州の起業家だったウイリアム・ボーンが地元で質の良い粘土を発見したところからデンビーの歴史は始まりました。
出典:depositphotos.com(ダービーシャー)
当初は、水差しやハーブなどを漬け込んだ飲み物「コーディアル」用の瓶(下記写真)を作っていました。瓶(写真左)が人の形をしていたり、水差しがおもしろい形をしていたりするなど、遊び心抜群ですね。
出典:デンビー本国公式サイト
この当時は、同じくイギリスの老舗ブランドのロイヤルドルトンでも同じようなストーンウエアの製品を作っています。当時の流行だったんですね。
デンビーは常に時代を読み、その時々のニーズに合わせた製品を次々と生み出しています。1920年代ごろからは上記のような水差しや瓶に代わり、パイ皿や水切りボウルのような機能的な台所用品を手掛けるようになりました。
また、1970年代になると自宅でのパーティーが増えてきたことから、おもてなし用の食器シリーズをリリース。
さらに2010年代になると、それまであまり洋食器では見られなかった大小のボウルや鉢を数多く発表。
それは近年、ヨーロッパでラーメンが流行するなど料理の世界も「グローバル化」「多国籍化」しているから。伝統的なデザインを守り抜くのではなく、常に「現代のライフスタイル」や「食文化」をとらえた食器シリーズを生み出すことで世界中の人々から支持を集めています。
出典:デンビー本国公式サイト
また、デンビーは創業以来200年以上、変わらず「メイド・イン・イングランド」を貫いています。製造コストを抑えるために、人件費の安い海外(イギリス外)で食器を生産するブランドが増える中、デンビーは食器を作る粘土も地元ダービーシャー州の工房近くで採れたもの、もちろん作るのもダービーシャー州。
見習いとして工房に入って技術を磨き上げ、その卓越した技術を次の世代に継承してリタイヤしていく、そんな熟練の職人たちに支えられるブランドでもあるのです。
デンビーが守りぬく3本柱―「丈夫さ」、「万能さ」、そして「美しさ」
出典:デンビー本国公式サイト(インペリアル・ブルー)
デンビーの特徴、それは3つあります―「丈夫さ」、「万能さ」、そして「美しさ」。
もしかすると、デンビーは食器単体で見るとちょっと地味に感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも、デンビーのよさは外見からはわからないところにあるのです!特徴を1つひとつ詳しく見ていきましょう。
1)丈夫さ―「10年保証」をつけてしまうほどの自信!丈夫で高品質の「ストーンウエア」
出典:デンビー本国公式サイト
デンビーの食器を語るには、「ストーンウエア」が何であるかと知ることが不可欠。
ストーンウエアとは、英語のstonewareのことで、日本語では炻器(せっき)と呼ばれます。ストーンウエアの食器で現在、日本で最も有名なのは「ル・クルーゼ」のラムカン!少しイメージがつくでしょうか?
ストーンウエアとは平たく言うと「高い温度で硬く焼きしめられたもので、耐久性に優れている」焼き物のこと。
実はデンビー、イギリス本国においては「10年保証」制度を設けているほど、耐久性や品質に自信を持っているのです(※注1)!
もちろん、保証には条件があり、不良品や欠陥のある商品に適用されるもの。通常の使用による欠けやひび、傷、しみや、誤って落としたなどのアクシデントの場合にはカバーされません。
しかし、丈夫なストーンウエアとはいえ、割れ物には変わりない食器に10年保証をつけるなんて、品質や耐久性に余程の自信がないとできないことですよね。子どもが小さいから割れ物の食器を買いなおすのはちょっと・・・と思って購入を躊躇していた方にもオススメです。
※注1:日本国内で購入するものに適用されるかどうかは、購入した店舗でご確認ください。また、10年保証の適用には購入時の登録など、諸手続きが必要です。
2)万能さ―オーブン&電子レンジ&食洗機&フリーザーの4つすべてOK!な食器
出典:デンビー本国公式サイト(ナチュラル・キャンバス)
上記4つはデンビーのよいところでもあり、ストーンウエアのよいところでもあります。電子レンジや食洗機はもちろんのこと、オーブンやフリーザー(冷凍庫)に入れることもできる万能選手!
このお皿はレンジがダメ、とかこの皿は手洗いしなきゃ、なんて考えなくていいし、オーブンからそのまま食卓へ出せると洗い物も減って、家事の負担が軽減されますね。
また、ストーンウエアは「汚れやにおい、傷がつきにくい」というのもよいところ。
陶器の中には水分を含みやすいものもありますが、ストーンウエアは水分を通さない性質を持つうえ、表面がガラス質で覆われているため、汚れ、においや傷がつきにくいのです。
電子レンジやオーブンでも使えてお手入れも簡単なうえ、汚れやにおい、さらに傷もつきにくいので、忙しいご家庭や、いいものを長く使いたいというご家庭にもぴったりです!
3)美しさ―料理を引き立てることを一番に考えたデザイン・色彩・フォルム
出典:デンビー本国公式サイト(ヘイロー)
伝統的な絵柄やデザインで食器を作り続けている窯もある中、デンビーは一貫して、その時代や人々のライフスタイル、食文化や流行に基づいたシリーズをリリースしています。
そのデンビーがデザインする際に一番大事にしているのは「料理を美しく見せること」。
18,19世紀の王侯貴族の時代に流行したような、飾るため、見せるための華やかな食器ではなく、現代の生活の中に自然となじむ「使うための食器」をデザインしているのです。
そのようなデザイン哲学を支えるのはもちろん、職人たちが代々受け継いでいる技術。
どっしりとした安定感がありながら、洗練されたフォルムを生み出す型、200以上の門外不出の釉薬(ゆうやく:陶磁器の表面を覆う素材)の配合表、そして、それを実現する職人たちの技術。それらがすべて合わさって1つひとつの作品が生み出されます。
そんな、イギリスの職人たちが手掛けた器は色もシェイプもどこか和食器っぽいから不思議。和食器にもよく使われる青や白、茶色などのなじみ深い色が充実しているから、さらにおすすめなのです。
イギリス製デンビーの5つの人気シリーズをピックアップ!
出典:デンビー本国公式サイト(ナチュラル・キャンバス)
デンビーは料理が盛りつけられてこそ、生きる器。ご自宅で使うシーンをリアルに想像できるように、今回は自宅での料理や、おもてなしの写真を中心にセレクトして紹介します。どうぞご覧ください!
1)デンビーのベストセラー!「インペリアル・ブルー」(Imperial Blue)
出典:デンビー本国公式サイト(インペリアル・ブルー)
1989年に発表され、今年でちょうど30周年になるデンビーのベストセラー「インペリアル・ブルー(Imperial Blue)」シリーズ。
海をイメージさせる鮮やかで深みのある青は、有田焼の染付(そめつけ)に代表されるように、日本でもなじみ深い色。寒色系の食器だから、赤いトマトやパスタがより鮮やかに、おいしそうに見えるのもいいですね(下記写真)!
出典:デンビー本国公式サイト(インペリアル・ブルー)
インペリアル・ブルーはアイテムが充実しています。特に、紅茶の国イギリスならではのティーポットとティーカップのフォルムは堂々としていて素敵ですね!
出典:デンビー本国公式サイト(インペリアル・ブルー)
デザインは3種類。コバルト・ブルーが全面に施されている鮮やかなスタンダードなものと、
出典:デンビー本国公式サイト(インペリアル・ブルー)
アクセントとして、青の縁取りがなされているものや、
出典:デンビー本国公式サイト(インペリアル・ブルー)
中心から縁にかけての青のグラデーションが美しい、最近リリースされた「ブルー・ヘイズ(Blue Haze)」シリーズ。「青いかすみ」という意味です。あなたはどれが一番好きですか?
出典:デンビー本国公式サイト(ブルー・ヘイズ)
2)人気シリーズを白色で復刻!「ナチュラル・キャンバス」(Natural Canvas)
出典:デンビー本国公式サイト(ナチュラル・キャンバス)
1962年にリリースされ、その後大人気になった「シェブロン(Chevron)」シリーズ(下記写真)。「シェブロン」をもとに2016年に新たに白地でリ・デザインして復刻したのが「ナチュラル・キャンバス(Natural Canvas)」です。
出典:デンビー本国公式サイト(シェブロン)
北欧を彷彿とさせるデザインと、生成の綿にほどこされたミシン目のような模様がアクセント。木をベースとするインテリアやナチュラル・テイストの家具にも見事にマッチしますね。
出典:デンビー本国公式サイト(ナチュラル・キャンバス)
普段遣いはもちろんのこと、カジュアルなおもてなしのシーンでも大活躍しそうなシリーズです。この器でもてなされると、もっとリラックスした、楽しい時間を過ごせそうですね!
出典:デンビー本国公式サイト(ナチュラル・キャンバス)
出典:デンビー本国公式サイト(ナチュラル・キャンバス)
3)釉薬が織りなす魔法の色彩が美しい「ヘイロー」(Halo)
出典:デンビー本国公式サイト(ヘイロー)
漆黒からグレーへのグラデーションと、澄んだ小川にある石のような模様が美しい「ヘイロー(Halo)」シリーズ。2010年にリリースされ、人気を集めています。
「ヘイロー」とは、「光の輪」という意味。太陽や月の周りに見える輪のような光や、天使の輪を意味するそうです。そう言われると確かに、夜空を見上げたときに見られる光のような神秘的なイメージがしますね。
出典:デンビー本国公式サイト(ヘイロー)
実は「ヘイロー」シリーズは、デンビーの技術があるからこそ可能なシリーズ。このグラデーションは、適切な温度管理のもと、窯の中で2種類の釉薬がうまく融合しあうことでできる色彩とデザインなのです。
木のプレートや天然素材の黒いスレートプレートも人気ですが、つややかな石のような模様の「ヘイロー」シリーズもナチュラルな食卓にマッチしそうですね!
出典:デンビー本国公式サイト(ヘイロー)
4)日本の食卓になじみやすい深緑色もおすすめ!「グリニッジ」(Greenwich)
出典:デンビー本国公式サイト(グリニッジ)
ロンドン近郊にあり、グリニッジ天文台やグリニッジ宮殿内のクイーンズ・ハウスで有名な港町「グリニッジ」。それを名前にもつこのシリーズは、シー・グリーン(海緑色)の食器として1994年にリリースされました。
日本でも岐阜県の織部焼に見られるように、深緑の食器もなじみ深い色。
出典:Wikipedia(織部焼)
インペリアル・ブルーと同様に、料理の色を引き立て、テーブルをぱっと華やかにしてくれる頼もしいシリーズです。
出典:デンビー本国公式サイト(グリニッジ)
5)クルミや栗の木など4種類の木をもとにした色彩が美しい!「スタジオ・クラフト」(Studio Craft)
出典:デンビー本国公式サイト(スタジオ・クラフト)
最後にご紹介するのは「スタジオ・クラフト(Studio Craft)」シリーズ。2017年にリリースされた新しいシリーズです。
素朴な美しさや自然な暮らし方が見直されてきた現代にぴったりのシリーズ。色は4種類の木「ニレの木、樺の木、クルミの木、栗の木」をイメージしてデザインされました。森の中の一軒家や、丸太を使った山小屋で使われていそうな温かみのある食器ですね。
出典:デンビー本国公式サイト(スタジオ・クラフト)
和食器でも茶色の陶器はおなじみの色。料理を盛りつけるとさらに映えますね。飾らない美しさが魅力の食器だから、リラックスした食事の時間を楽しめそうですね!
出典:デンビー本国公式サイト(スタジオ・クラフト)
いかがでしたか?
デンビーは百貨店などで常設のコーナーはまだないようですが、英国展などの催事のときに展示されることもあるようです。
でも、もしお近くで開催される予定がなさそうなら、「デンビー」と検索してみてくださいね。ここでご紹介した以外のシリーズでお好みのものが見つかるかもしれませんよ!
出典:デンビー本国公式サイト(ナチュラル・キャンバス)
参考資料
「西洋陶磁入門」(岩波書店)