フュルステンベルク|ドイツ7大名窯のひとつとして、各時代のヨーロッパ美術様式に沿った多様なデザインを生み出す高級磁器窯

フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイトグレック、ミル・フルール

突然ですが、あなたは「ドイツ」という国にはどんなイメージを持ちますか?

BMWやベンツなどの自動車産業?それとも、ビールやソーセージなどの食文化?おとぎ話に出てくるような綺麗なお城・・・?

いえいえ、ドイツの魅力はそれだけではありません。洋食器の世界でもドイツはイギリス・フランスと並んで、存在感を放つ国なのですよ!

ご存じのように、ヨーロッパで初めて磁器を生み出した「マイセン」を擁する国であり、今も伝統や高い製陶技術を守り続けている窯をたくさん擁する国でもあります。

今回は、ドイツ7大名窯のひとつ「フュルステンベルク」にスポットを当てて、その歴史や特徴、人気シリーズを詳しく紹介します。

日本ではあまり有名とは言えませんが、創業から270年以上たった現在もずっと創業時と同じドイツの地で磁器を作り続けている窯でもあります。知る人ぞ知る「フュルステンブルク」の魅力に迫ります!

 

ドイツ北部の小さな街「フュルステンベルク」にある古窯

フュルステンベルク窯(Porzellanmanufaktur FÜRSTENBERG)は、ドイツ北部ニーダーザクセン州の小さな街「フュルステンベルク」で産声を上げました。

フュルステンベルク城・美術館出典:フュルステンベルク城・美術館

ニーダーザクセン州とは、ドイツ北部に位置する州で州都は「ハノーファー」。フュルステンベルクはこの州の中でひときわ小さな街で、現在の人口は約1,000人です(2018年末時点)。

フュルステンベルク出典:Wikipedia(フュルステンベルク)

そんな小さな街を世界的に有名にしたこの窯には、どんな歴史のドラマがあったのでしょうか。

 

ドイツが誇る「マイセン」や「ヘキスト」と並んで歴史は古く、「ニンフェンブルク」と同じ1747年に公爵家によって創業

フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト

時は18世紀、ドイツでは次々と名窯が誕生します。ヨーロッパ最初の磁器を生み出した「マイセン」は1710年創業。それに続いて、「ヘキスト」が1746年に産声を上げました。

その翌年、ドイツの北と南でそれぞれ、後世に残る名窯「ニンフェンブルク」とこの「フュルステンブルク」が誕生しました。

これら4つはいずれも「ドイツ7大名窯」に数えられ、フュルステンベルクもまた王侯貴族にゆかりのある窯です。

設立したのは、この地を治めていた「カール1世(ブラウンシュヴァイク・ヴォルフェンビュッテル公爵)」。

彼の実妹 ユリアーネ・マリー王太后 も、デンマーク王室に嫁いだ後、ロイヤルコペンハーゲン設立に尽力します。陶磁器製造への造詣が深い兄妹だったんですね。

カール1世出典:フュルステンベルク本国公式サイト(カール1世)

フュルステンベルクでは、1747年の設立以来、その時代時代の美意識や生活様式を反映した磁器を製作しています。それがよくわかる例として挙げられるのが、創立者カール1世のために作られた食器セットの中のプレート。

フュルステンベルク

これは設立初期の1760年ごろに描かれたもので、工房の中で最も古いものの1つだそう。デザインのモチーフになっているのは城とフュルステンベルクの工房です。

プレートに城だけでなく工房も描かせるなんて、カール1世はフュルステンベルクをとても愛していたんでしょうね!

 

創業から270年以上、ずっとドイツ・フュルステンベルクの地で手仕事を守り抜く

フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト

フュルステンベルク窯の特徴は「今なお、大部分が手仕事によって生み出されていること」。それは高品質を求めればこそ、なのです。

例えば、ティーカップは数多くの職人の手を通して形作られますし、ティーポットは8~12個の個々のパーツを職人が組み合わせて完成します。

また、安い人件費を求めて海外生産に切り替える窯も多い中、フュルステンベルクでは創業以来270年以上、小さなフュルステンベルクの街に工房を置いています。

若いときに工房に入って修行を積む人が多く、中には40年以上、勤める職人もいます。磁器を愛し、磁器製作を愛する職人たちやそれを支える体制が伝統を受け継ぎ、高いクオリティの磁器を生み出す基盤となっているのです。

 

あなたはどれがお好き?色や絵柄でなく「シルエット」で決める食器選び

フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト(エンパイヤ)

あなたは食器を選ぶとき、何を基準にして選びますか?色?絵柄?それとも絵のモチーフ?

それもいいけれど、たまには違った視点で選んでみるのもいいかもしれません。フュルステンベルクはひと味違った食器選びを提案してくれますよ。

フュルステンベルクのもう1つの特徴は、「いろいろな形・シェイプの食器があること」。

18~19世紀の伝統的なシェイプもあれば、現代の食卓に合うモダンなデザインなどが18種類もあります。だから、ホームページでは食器選びのためのカテゴリとして、シリーズ名や色などのほかに「フォルム(形・シェイプ)」という他の窯にはないカテゴリがあるほど!

また、シルエットを際立たせるためかと思いますが、下記写真のようにサンプル写真の磁器の色が白磁になっています。純粋にフォルムや形に注目して吟味できるので、自分の好みがより明確になって新たな発見ができるかもしれませんよ。

人気シリーズ紹介に入る前に代表的なシェイプを5つご紹介します。あなたが「ピン!」ときたデザインはどれですか?

 

1)270年以上愛されているロココ調フォルム「アルト・フュルステンベルク」(ALT FÜRSTENBERG)

フュルステンベルク、アルト・フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト(アルト・フュルステンベルク)

この「アルト・フュルステンベルク(ALT FÜRSTENBERG)」は1750年にデザインされ、フュルステンベルク窯の中でも最も歴史のあるフォルム。デザインされた時代と変わらぬデザインで今も愛され続けているフォルムです。

ドイツ語で「アルト(alt)」とは英語でいう「old」で「古い」「歴史のある」という意味です。

特徴はなんといっても、18世紀に流行したロココ調のフォルム!ロココ調とは、貝や植物などの自然界にあるものにインスパイヤされた、丸みを帯びた女性的なデザインの様式のこと。

カップのハンドルや蓋の取っ手部分はバラのつぼみを形取っていて、優雅なデザインが好きな方にお勧めです。

フュルステンベルク、アルト・フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト(アルト・フュルステンベルク)

 

2)1780年にデザインされた新古典主義的な「フェルディナント公爵」(HERZOG FERDINAND)

フュルステンベルク、フェルディナント公爵出典:フュルステンベルク本国公式サイト(フェルディナント公爵)

次に紹介するのは凛とした佇まいのフォルム「フェルディナント公爵(HERZOG FERDINAND)」。まっすぐなラインの円筒形のフォルムは、上記の丸みを帯びた「アルト・フュルステンベルク」のフォルムとは大きく異なりますね。

このデザインは、ギリシア・ローマ時代の、シンプルでありながら気品をたたえた意匠を重視し、新古典主義(ネオクラシズム)と呼ばれています。

角ばったハンドルや松ぼっくりをモチーフにした蓋の取っ手の部分は、上記の女性的な「アルト・フュルステンベルク」に対して男性的な印象を与えますね。

この「フェルディナント公爵」シリーズはドイツの高級ホテルでも使用されています。

 

3)1800年初頭のアンピール様式を反映した「エンパイヤ」(EMPIRE)

フュルステンベルク、エンパイヤ出典:フュルステンベルク本国公式サイト(エンパイヤ)

「皇帝」を意味する「エンパイヤ(EMPIRE)」シリーズ。

格調高いこのデザインは、1800年ごろのもので、当時、フランス革命ののち皇帝となったナポレオン1世が愛した重厚なデザインの「アンピール様式(帝政様式)」にインスパイヤされました。格調高いデザインが好みの方にお勧めです。

 

4)1840年頃のロマンチックなビーダーマイヤー様式の「グレック」(GRECQUE)

フュルステンベルク、グレック出典:フュルステンベルク本国公式サイト(グレック)

多角形のシェイプが美しい「グレック(GRECQUE)」。「ビーダーマイヤー様式」のコーヒーセットとティーセットとして1840~1850年ごろにデザインされました。

ビーダーマイヤー様式」とは、王侯貴族が好むような豪華で理想的なものでなく、市民が好むような簡素で日常的なものに目を向けようとする風潮を反映した美術様式で、上品で控えめなデザインや小花の装飾が特徴です。

この「ビーダーマイヤー様式」は、国によって呼び方が違います。「ビーダーマイヤー様式」はドイツやオーストリアで誕生した言葉。同じ様式でも、フランスでは「市民の王」にちなんで「ルイ・フィリップ様式」、イギリスでは、ヴィクトリア女王にちなんで「アーリー・ヴィクトリアン様式」と呼ばれています。

この「グレック」は上記の「エンパイヤ」シリーズにみられるアンピール様式のデザインを発展させたものとか。確かに「エンパイヤ」の形を彷彿とさせますね。

格調高さの中にロマンチックさもあるこのシェイプは、1916年にデザインに手を加えて再リリースされ、その後ずっとフュルステンベルクを代表するコレクションとして愛され続けています。

 

5)近代ドイツを象徴するバウハウス・デザイン。1934年発表の「ヴァーゲンフェルト」(WAGENFELD)

フュルステンベルク、ヴァーゲンフェルト出典:フュルステンベルク本国公式サイト(ヴァーゲンフェルト)

創立から100年経った今なお、世界のデザイン界に大きな影響を与えているドイツの美術・建築の教育機関「バウハウス」。

わずか14年で閉校したこのバウハウスに2年間、在学した世界的な工業デザイナー「ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルト(WILHELM WAGENFELD)」がデザインしたのがこのフォルムです。

ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルト出典:フュルステンベルク本国公式サイト(ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルト)

この「ヴァーゲンフェルト(WAGENFELD)」シリーズは、そのデザインの秀逸さから、1937年に開かれたパリの万国博覧会で金賞を受賞しました(ちなみに、1889年はロイヤルコペンハーゲン、1900年はアラビアジアンロールストランドがグランプリを獲得)。

このようなデザインが生み出される背景には、ヴィルヘルム・ヴァーゲンフェルトがもつ哲学があるようです。彼が残した言葉には以下のようなものがあります。

“Everything that is useful must be beautiful; otherwise things do not do their job.”

“Useful things must be attractive, otherwise they don’t fulfil their purpose”.

彼の云わんとするところを意訳すると、「実用的なものは美しく、魅力的であるべき。もし、そうでなければ、モノはその役割や目的を果たさない」ということでしょうか。

つまり、モノは実用性と美しさを兼ね備えたものでなければならないと考えているのでしょう。彼のデザインが時を超えて愛され続けているのは、哲学に裏打ちされているからかもしれません。

 

近年は挑戦のフィールドを広げ、ドイツ国内外のデザイン賞を次々と受賞

2000年代に入ると、伝統的なシリーズにとどまらず、デザイナーたちと協力してモダンなデザインのものもリリース。

その努力が評価され、2010年以降はほぼ毎年、フュルステンベルクの製品はドイツ国内外のデザイン賞を受賞しています。全世界の優れた工業製品に贈られる「iFデザイン賞」も受賞するなど、世界でもその質の高さが評価されています。

また、食器の枠を飛び出し、デザイナーと協力してインテリアなどにも活躍の場を広げています。

最新のインテリアデザインは、2018年にリリースされた、スタイリッシュな磁器製のサイドテーブル!プリーツのようなひだが光と影を織りなし、空間を素敵に彩ります。

これはドイツ国内のデザインアワード2019 (German Design Award 2019)の家具部門で金賞を受賞しています。

フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト(PLISAGO side table)

 

フォルムが同じでもまったく印象が違う!フュルステンベルクの人気デザインを一挙、紹介

フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト

大変長らくお待たせしました。ここからはフュルステンベルクの3つの代表フォルムのバリエーションを紹介します。

同じフォルムなのに、絵柄や色でまったく異なる印象を見せるものがたくさん!ぜひ、見比べてみてください。

 

1)色や絵柄で3種3様の異なるテイストに変化する「グレック」(GRECQUE)

フュルステンベルク、グレック・ミル・フルール出典:フュルステンベルク本国公式サイト(グレック、ミル・フルール)

先に紹介した「グレック(GRECQUE)」シリーズ。中でも、金の縁取りや小花が施された上記の「ミル・フルール(MILLE FLEURS)」はぐっと華やかさが増しています。

日常的なものを好む「ビーダーマイヤー様式」のデザインだから、普段の生活にも取り入れやすいところがいいですね。

この「グレック」シリーズには「ミル・フルール」のほかに、白磁を生かした「ホワイト(WHITE)」と

出典:フュルステンベルク本国公式サイト(グレック、ホワイト)

太めの金彩が印象的で、ギリシャ神話の女神を意味する「アテナ(ATHENA)」の3種類があります。

出典:フュルステンベルク本国公式サイト(グレック、アテナ)

 

2)クラシカルとモダンの融合から生まれた「カルロ」(CARLO)

フュルステンベルク、カルロ出典:フュルステンベルク本国公式サイト(カルロ、エステ)

古典的だけど、洗練されている印象の「カルロ(CARLO)」。イタリアの建築家でありデザイナーである「カルロ・ダル・ビアンコ(CARLO DAL BIANCO)」によって2009年に発表されました。

カルロ・ダル・ビアンコ出典:フュルステンベルク本国公式サイト(カルロ・ダル・ビアンコ)

バリエーションは6種類。純粋にシェイプを楽しめる白磁の「ホワイト(WHITE)」や、

フュルステンベルク、カルロ・ホワイト出典:フュルステンベルク本国公式サイトカルロ、ホワイト

落ち着いたグリーンと古代建築に施されたような幾何学模様が高貴な印象を与える「エステ(ESTE)」、

フュルステンベルク、カルロ・エステ出典:フュルステンベルク本国公式サイトカルロ、エステ

さらに縁に施された金彩がシルエットをさらに引き立てる「オロ(ORO、イタリア語で金という意味)」もあります。

フュルステンベルク、カルロ・オロ出典:フュルステンベルク本国公式サイトカルロ、オロ

 

3)色とりどりの花や植物の絵付けで、優雅なロココ調のフォルムが引き立つ「アルト・フュルステンベルク」(ALT FÜRSTENBERG)

フュルステンベルク、アルト・フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト(アルト・フュルステンベルク、ロティーネ

フュルステンベルクの創業初期に誕生した「アルト・フュルステンベルク(ALT FÜRSTENBERG)」。このシリーズも5種類のデザインがあります。

まず、最初に紹介したいのは、コバルトブルーの花が落ち着いた印象を醸し出している「ロティーネ(Lottine)」。

フュルステンベルク、アルト・フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト(アルト・フュルステンベルク、ロティーネ

これは、フュルステンベルクを創業したカール1世の妻の愛称にちなんだもの。言い伝えによると、カール1世の妻はこのデザインをとても好んだそうです。

この商品をストアで見るロティーネ

他にも、「色鮮やかな花」という意味の「ブンテ・ブルーメ(BUNTE BLUME)」や

フュルステンベルク、アルト・フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト(アルト・フュルステンベルク、ブンテ・ブルーメ

グリーンの植物が爽やかな印象を与える、「お城の庭」という意味を持つ「シュロス・ガルテン(SCHLOSS GARTEN)」、

フュルステンベルク、アルト・フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト(アルト・フュルステンベルク、シュロス・ガルテン

可憐な一輪のバラが美しい「ローゼ(ROSE)」もあります。

フュルステンベルク、アルト・フュルステンベルク出典:フュルステンベルク本国公式サイト(アルト・フュルステンベルク、ローゼ

 

いかがでしたか?

フュルステンベルクは、日本語でほとんど詳しい情報がないのが現状です。

もし、フュルステンベルクの食器をもっと見てみたいなら、ぜひ、本国公式サイトを覗いてみてくださいね!今回、紹介しきれなかったモダンなデザインもまだまだたくさんありますよ!

 

この商品をストアで見る→フュルステンベルク

 

参考資料

フュルステンベルク本国公式サイト