華麗なる一族ハプスブルク家の面影が残る古都ウィーン
「音楽の都」と呼ばれるオーストリアの首都ウィーン。
クラッシック音楽が盛んで、モーツァルトやベートーヴェンなど多くの作曲家が活躍したことでも有名です。
世界三大オペラ座の一つである「ウィーン国立オペラ座」や、天使の歌声を響かせる「ウィーン少年合唱団」など世界中の人々を魅了し続けるエンターテイメントも充実しています。
また、13世紀後半から約640年に渡り、中央ヨーロッパを統治していたハプスブルク家の面影漂う街並みも見逃せません。
出典:Wikipedia(ハプスブルク家マリア・テレジアと家族)
ハプスブルク家の夏の離宮だった「シェーンブルン宮殿」、歴代皇帝一家が実際に執務を行い、生活してきた「王宮(ホーフブルク)」など、ハプスブルク家の栄華と隆盛の象徴とも言える場所は必見です。
出典:https://www.schoenbrunn.at/
このほか、妖しい美しさをたたえた画家クリムトのコレクションや、ウィーンのガウディと呼ばれる「フンデルトヴァッサーハウス」の建築は、奇抜なデザインと遊び心が一体となっていて、また違った都市の一面を見せてくれます。
出典:Wikipedia(「接吻」クリムト作)
そして、ウィーンに行ったらぜひ食べたいのが「ザッハートルテ」。
19世紀にフランツ・ザッハ―氏が考案したことから名づけられたこのチョコレートケーキは、砂糖を入れずに泡立てた甘くないホイップクリームで食べるのが一般的。
このケーキの発祥の地「ホテル・ザッハ―」の味と、ハプスブルク家御用達の店「デメル」の味とで、食べ比べてみるのも楽しいかもしれませんね。
出典:Wikipedia(ザッハ―トルテ)
16世紀から伝統を守り続けるウィーン市民憩いの公園・アウガルテン
ウィーンの北部に知る人ぞ知る、アウガルテン(Augarten)という大きな公園があります。
アウガルテン公園は、元々ハプスブルク家の狩場だったのですが、1775年に市民の憩いの場の公園として開放されました。
この公園の中には、ウィーン少年合唱団の寄宿舎としても使われている「アウガルテン宮殿」があります。
出典:Wikipedia(アウガルテン宮殿)
マイセンに次ぎヨーロッパで2番目に古い歴史をもつ、ハプスブルク家御用達の工房
また、この公園の一角にはなんと、ハプスブルク家にゆかりの深い、オーストリアが誇る磁器工房があるのです。
その名も「ウィーン磁器工房アウガルテン」。
この工房は、マイセンに次いでヨーロッパ2番目に古い歴史を持ち、この工房で、世界初の磁器によるコーヒーカップが誕生したのです。
その歴史は18世紀にさかのぼります。1718年、ウィーンの実力者デュ・パキエが、ヨーロッパで最初に真性磁器の焼成に成功したマイセン王立磁器製作所の絵師フンガーとシュテルツェルを引き抜いて,開設したのがウィーン磁器工房(パキエ磁器工房)。
その後、1744年に女帝マリア・テレジアによって皇室直属の磁器窯となり、それ以来ハプスブルク家の紋章が商標になり、製品全てに紋章が刻印されるようになりました。
ちなみに、ローマ帝国がもともと鷲の紋章が使っていたのですが、この大帝国の正当な後継を自負するハプスブルク家が同様に鷲の紋章を使っているあたり、名門としてのプライドが見え隠れして面白いですね。
出典:ハプスブルク家の紋章
出典:アウガルテン公式サイト
19世紀後半、ハプスブルク家の衰退などの理由で、一時、閉鎖に追い込まれますが、1924年にアウガルテン宮殿に工房を移し、再興が果たされました。
達人の手作業と絵付けが今でも続くウィーン磁器工房アウガルテン
長い伝統を誇るウィーン磁器工房アウガルテン、そのアウガルテンでは、開設当時から、磁器は手作業で生産及び絵付けが続けられています。
購入する誰もが、この世で1つしかない品物を手にすることになるのです。
そう、全てが一点物なのです。 アウガルテンの代表的な絵柄として、ウィンナー・ローズ、マリア・テレジア、ビーダーマイヤーなどがあります。
出典:アウガルテン公式サイト(ウィンナー・ローズ)
アウガルテンの斬新なデザインは、工房設立当初から、高名な芸術家との連携により生まれています。
時代の移り変わりによって、近代的な形と少ない装飾の製品も扱うようになりましたが、そこでもデザイナーが積極的にデザインの開発に力を尽くしています。
参考資料