シノワズリ(中国趣味)とは、中国製品の“コピー”ではなく、あくまでも中国“風”のものということで、西洋人の東洋の文化へのあこがれから生まれた西と東の美術のコラボレーションなのです。
中国人がコピーした有名キャラクターや東京オリンピックのエンブレムの盗作問題など、“パクリ”はとかく大きな問題になっています。
しかしなぜ“パクリ”、いわゆる複製やコピーがこれほど大きな問題になるのでしょうか?
洋食器と言えば、マイセンやウェッジウッドに代表される超有名ブランドだけなく、近年はアラビアなどの北欧食器やポーランド食器なども人気がありますよね。
しかし、東欧ハンガリーにも名窯があることをご存知でしたか?
その名は「ヘレンド」。
19世紀に創立され、幾多の試練を乗り越えながら、一貫して丹念な手仕事で伝統の意匠を守り続けてきた窯です。
エリザベート・アマーリエ・オイゲーニエ・フォン・ヴィッテルスバッハ(Elisabeth Amalie Eugenie von Wittelsbach、1837-1898)、「シシィ」の愛称で知られる后妃は、バイエルン王国(現ドイツ)に生まれ育ちます。
エリザベートの父親であったマクシミリアン公爵は、バイエルン王家(ヴィッテルスバッハ家)の中でも傍系であったこともあり、そうとうな自由人であったようで、エリザベートも自由気ままに伸び伸びと生きていました。
2018年1月13日からパナソニック汐留ミュージアムで始まった「ヘレンド展 皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯」に行って来ました。
ヘレンド窯の作品が日本で紹介されるのはこれで3回目。初回は1993年、名工の手によるマスターピースを中心に、2回目は2000年から2001年にかけてヘレンド窯とハプスブルク宮廷の関わりに焦点を当てた展覧会でした。
そして3度目となる今回は、繊細な絵付けの施された装飾用磁器や、美しい装飾の実用磁器を中心に、ヘレンド窯190年の歴史沿って精選されたおよそ230点が紹介されています。