スポード|「ボーン・チャイナ」を生んだイギリスの名窯

スポード、ブルーイタリアン出典:スポード公式サイト(ブルー・イタリアン)

 

ピーターラビットの作者も愛した、ブルー&ホワイトの食器「スポード」

ロイヤルコペンハーゲンロイヤルデルフトに代表されるように、世界中にはたくさんのブルー&ホワイトで有名な食器ブランドがあります。

実はイギリスにも、青と白の食器で知られるブランドがあるのです。

その名は「スポード(Spode)」。あのピーターラビットの作者、ビアトリクス・ポターも愛した食器ブランドとか。

今回は、イギリスの「スポード」の知られざる歴史や有名シリーズをのぞいてみましょう。

スポード、ブルーイタリアン出典:スポード公式サイト(ブルー・イタリアン)

 

「ボーン・チャイナ」の開発などの功績から、王室御用達の称号を授かった

1759年、イギリス陶器の故郷ストーク・オン・トレントの街で、誰もが知る「ウェッジウッド」が産声を上げました。

創立者はジョサイア・ウェッジウッド

実は、同じ時期、同じ街でもう1人の「ジョサイア」も陶器作りに力を注いでいました。

ウェッジウッド創立から約10年後の1770年、この、もう1人のジョサイアは他の窯での修行を経て、自分の窯を開きます。

その名はジョサイア・スポード1世。

のちにイギリス4大名窯と呼ばれることになる「スポード」の設立者です。

二人のジョサイアが生きた当時は、オリエンタルなブルー&ホワイトの食器の人気が非常に高かったのですが、市場に出回っているものはほとんどが中国からの輸入品でした。

イギリスには、中国に勝てるような陶器の製造技術がまだなかったのです。シノワズリ(中国趣味)の美しいブルー&ホワイトの陶器を作りたい・・・

その思いからスポードは、数々の後世に残る技術を開発し、時代の先端を走ってきました。

スポードを代表する功績の1つは、1784年ごろに銅板転写による下絵付けの技法を開発したこと。

この技術により、1784年~90年代にブルー&ホワイトの「ウィローパターン」の陶器が誕生しました。

http://www.spodemuseumtrust.org/spode-collection-6.html出典:Spode Museum Trust (初期の銅板(右)と転写された紙(中)。1790年ごろのもの)

2つ目は「ボーン・チャイナ」を完成させたこと。

ボーン・チャイナは現代ではなじみ深いものですが、素地が薄いにも関わらず強度が強いこと、また透光性があり、乳白色の温かな質感が特徴で、当時は革新的でした。

1796年に初めて世に出た当時は「ストーク・チャイナ(Stoke China)」と呼ばれていたそうですが、牛の骨の灰を配合していることから「ボーン・チャイナ(Bone China)」と呼ばれるようになりました。

1806年にはそれまでの功績が認められ、当時の英国国王ジョージ4世よりロイヤル・ワラント(王室御用達)の称号を授かりました。

スポード出典:Spode Museum Trust(ボーン・チャイナの花瓶(1807年)。日本の伊万里焼(柿右衛門)のデザインをベースにしている)

 

「陶工マイスターの父」と「やり手のビジネスマンの息子」の強い絆から、「ブルー・イタリアン」が生まれた

オリエンタルな模様の縁取りの中に、美しく静かなイタリアの風景が描かれた「ブルー・イタリアン」。

1816年に誕生したこのシリーズは、現存するテーブルウェアのデザインの中では世界で最も古いものの1つです。

実は、このブルー・イタリアンには父と息子による誕生秘話があるのです。

ジョサイア・スポード1世出典:Spode Museum Trust(父:ジョサイア・スポードⅠ世)

ジョサイア・スポード2世 出典:Spode Museum Trust(息子:ジョサイア・スポードⅡ世)

スポードⅠ世の息子であるスポードⅡ世は、ロンドンにあるスポードのショールームを任されていました。

当時、ブルー&ホワイトの陶器が流行していたことで、陶器のマーケットは活気づいており、ショールームには、オーダーメイドの食器のセットを買い求める顧客であふれていたそうです。

この頃、イギリスの貴族や富裕層の子息がグランド・ツアーと呼ばれるヨーロッパへの見聞旅行をするようになります。

それにより、東洋の美のトレンドが、西洋的な風景への憧れに移り変わりつつありました。

息子のスポードⅡ世はこの傾向をいち早く見抜き、東洋と西洋の2つをうまく融合したデザイン、つまり、伊万里焼のような縁取りの中に、イタリアの田舎の風景を描いて組み合わせたのです。

陶器の熟練工である父と、マーケティングに長けた息子との密な連携があったからこそ、ブルー・イタリアンが生まれたのです。

父と息子の絆から生まれた「ブルー・イタリアン」は、誕生以来200年以上経った今なお、人々に愛され続けています。

 

スポードのブルー&ホワイト食器 2大シリーズ

1)ブルー・イタリアン(Blue Italian)

上記で紹介した、言わずもがなの人気コレクション。東洋と西洋の美の融合が日本人の心を引き付けてやまないのかもしれません。

スポード、ブルーイタリアン出典:スポード公式サイト(ブルー・イタリアン)

 

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2)ブルー・ルーム(Blue Room)

「ブルー・ルーム」コレクションは、18世紀当時、使用されていた手彫りの銅板を使用して復刻したものです。

ブルー・ローズやゼラニウムなどの花、古代ギリシャやインドの風景、イソップ童話をモチーフにしたものなど、さまざまな絵柄が楽しめます。

スポード、ブルールーム出典:スポード公式サイト(ブルー・ルーム)

 

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青と白の陶器だけじゃない!クリスマス気分を盛り上げるシリーズも

スポードは、青と白の陶器以外にも、さまざまなシリーズを作っています。

中でも特徴的なのが、「クリスマス」に関連したシリーズ。

白地に緑のツリーが映える「クリスマス・ツリー(Christmas Tree)」とイギリスの田舎街やスコットランドの高地にインスパイアされた「グレン・ロッジ(Glen Lodge)」。

パーティーなどみんなが集まる時期にシリーズでそろえると気分がますます盛り上がりますね。

スポード、クリスマスツリー出典:スポード公式サイト(クリスマス・ツリー)

スポード、グレンロッジ出典:スポード公式サイト(グレン・ロッジ)

 

いかがでしたか?

スポードの知られざる歴史を紐解くと、ますます一つひとつの食器が魅力的に見えてきますね。

ウェッジウッドだけでなく、もう1人のジョサイアが作ったスポードもぜひ一度、手に取ってみてくださいね。

 

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参考資料

Spode Museum Trust

スポード公式サイト