出典:リヤドロ公式サイト
「食器もいいけれど、陶磁器製の人形も好き!」「イヤープレートのように、記念日に買い足していくインテリアがほしい」―そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
そんなあなたにはスペイン発の「リヤドロ」がおすすめですよ!
今にも動き出しそうな、柔らかな曲線や上品な色彩で世界中の人々から愛される磁器人形のブランドです。
現在は、ロシア・サンクトペテルブルクにあるエルミタージュ美術館にも飾られるほどの芸術性の高さをもつ「リヤドロ」。その魅力を余すことなくお伝えします!
「優しさあふれる世界を作りたい」―3兄弟は思いを磁器にこめた
出典:リヤドロ公式サイト(Romantic Feelings Woman Sculpture)
「リヤドロ」は1953年、スペインの古都バレンシアの郊外に暮らすリヤドロ家の3兄弟、ホアン、ホセ、ビセンテによって創業されました。
陶磁器と言えば、イギリスやフランス、ドイツを思い浮かべる方が多いと思いますが、実はスペインも陶器で有名な国。
特にバレンシア地方は、金を用いずに金にも似た光沢を出した「ラスター彩陶器」で歴史的にも陶器の産地であり、南ヨーロッパらしい多彩色の陶器やタイル生産も盛んでした。
3兄弟が育ったバレンシアの地に陶磁器の芸術・技術のバックグラウンドがあったことも、リヤドロ誕生に大きな影響を与えたのでしょう。
リヤドロ3兄弟は14歳でバレンシアの美術学校に入学。ホアンとホセの2人は絵画や陶芸を、ビセンテは彫刻を学びました。
美術学校を出た彼らはそののち、スペインの自宅の中庭に陶芸用の小さな窯を作ります。「優しさあふれる世界を創造したい」と夢見るリヤドロ3兄弟はその思いを陶磁器にこめることに。
フランスのセーヴル窯やドイツのマイセン窯にインスパイアされ、皿や花瓶、セラミック製の人形を作り始めました。次第に、手作りならではの風合いが評判を呼び、1950年代の終わりにはバレンシアに初めてのお店を構えるまでになりました。
花びらや服のドレープだけでなく、レース生地までも!もはや、磁器には見えない繊細さとやわらかさ
出典:リヤドロ公式サイト(Celebration of Spring Women Sculpture. Limited Edition)
創業からわずか60年ほどで、ポーセリン・アートのトップブランドになったのでしょうか。
まず、上げられるのはその技術力の高さ。マイセンなど、世界の名だたる名窯もフィギュリン(人形)を作っていますが、リヤドロのアーティスト(職人)の技術にも目を見張ります。
例えば、リヤドロがその名を世界に知らしめた「公園どおりの花屋さん」という作品。
記事のトップでも写真をご紹介しましたが、リヤドロが得意とする「陶花」が贅沢に飾られている、人気の作品です。この写真の花の部分にご注目ください!
出典:リヤドロ公式サイト(Flowers of The Season Woman Sculpture)
つややか、かつ繊細でため息が出るほど美しいですね!
出典:リヤドロ公式サイト(Flowers of The Season Woman Sculpture)
これらの花は、熟練したフラワーアーティストによって1つ1つ手作業で作られています。この作品の高さは約30センチ。花びら1枚1枚や葉っぱは驚くほどの小ささです。
また、この3人の貴婦人の人形。ドレスも風に舞っているかのように、ふんわりして驚きますが・・・さらに驚くのは、パラソルのレース部分!
出典:リヤドロ公式サイト(Three Sisters Sculpture. Limited Edition)
出典:リヤドロ公式サイト(Three Sisters Sculpture. Limited Edition)
わかりますか?本物のレース生地のようにも見えますが、これももちろん、磁器製。このパラソルが硬い磁器からできているとは思えない細やかさです!
さらに、リヤドロの近年の傑作も見てみましょう。これは、「カーニバル・イン・ヴェニス」というイタリア・ベネチアでのカーニバルの様子をイメージした、世界限定100点しか作られない作品。
出典:リヤドロ公式サイト(Carnival in Venice Sculpture. Limited Edition)
なんと完成までに5年もの歳月を費やして、研究と試行錯誤を繰り返した逸品!
35人のアーティスト(職人)がのべ22,000時間をかけ、450ものパーツを組み合わせて14人の「人形」に命を吹き込みました。世界観が細部に渡り、ていねいに作りこまれていて、いつまでも眺めていたい最高傑作です。
出典:リヤドロ公式サイト(Carnival in Venice Sculpture. Limited Edition)
宗教上の神から、日常のありふれたワンシーンまで。その多様なラインナップも世界中で愛される理由
出典:リヤドロ公式サイト(Trimming The Tree Figurine)
リヤドロの魅力はものづくりの技術力だけではありません。
表現するシーンが幅広く、お気に入りの逸品が見つかりやすいところも、世界中で愛されている理由ではないでしょうか。
例えば、キリスト教徒が多いスペインですが、リヤドロは仏教やヒンドゥー教の人形も制作しています。ヒンドゥー教のガネーシャ神や
出典:リヤドロ公式サイト(Lord Ganesha Sculpture. Limited Edition)
なんと、仏教では薬師如来像も作られています。
出典:リヤドロ公式サイト(Medicine Buddha Figurine)
また、信仰の対象だけでなく、日常にありそうなワンシーンを見事にとらえて表現したり、動物の個性をうまくとらえたりした人形も制作しています。
赤ちゃんの笑い声が聞こえてきそうなお母さんとの人形や
出典:リヤドロ公式サイト(Giggles with Mom Figurine)
お母さんと子どもだけでなく、お父さんと子どものフィギュリンもあります! お父さんの温かいまなざしは本当に近くにいそう、そんな雰囲気をまとっています。
出典:リヤドロ公式サイト(In Daddy's Arms Figurine)
リヤドロで要チェックな5大シリーズとは?
動物や子ども、女性や男性、歴史上の人物まで、多岐にわたるアイテムを作っているリヤドロ。今回は、その中から、知っておきたい、見ておきたい5大フィギュリンをご紹介します!
1)子ども
子どもの豊かな表情を見事に表現しているのがリヤドロの子どもシリーズの特徴です。
下記の作品は、女の子の表情だけでなく、わんちゃんの表情も愛らしく、これからのおでかけが待ち遠しい気持ちが伝わってきますね。
出典:リヤドロ公式サイト(An Elegant Touch Girl Figurine)
また、赤ちゃんの表情も豊かに表現しています。今にも寝息が聞こえてきそうなお顔ですね。
出典:リヤドロ公式サイト(Comforting Dreams Girl Figurine)
2)動物
動物シリーズは、仕草だけではなく、それぞれの動物の個性を感じさせるような、繊細な造形が見事です。
出典:リヤドロ公式サイト(Blossoms for The Puppy Dog Figurine)
出典:リヤドロ公式サイト(Puppy Parade Girl with Dogs Figurine)
小さなねずみを目で追いかける、好奇心旺盛な猫の表情も愛らしいですね。
出典:リヤドロ公式サイト (Curious Kittens Figurine)
3)ファミリー
出典:リヤドロ公式サイト(My Little Sweetie Mother Figurine)
先ほどは母と子、父と子のフィギュリンを紹介しましたが、家族3人のファミリーのシーンも!ファミリーのカテゴリーだけでも、50近くの種類があります。
出典:リヤドロ公式サイト(A Circle of Love Family Figurine)
また、色とりどりの花をまとったカップルのフィギュリンも。記念日のプレゼントにぴったりです!
出典:リヤドロ公式サイト(Love III Couple Sculpture)
4)日本人形
リヤドロには、日本文化に関する人形もたくさん!ひな人形はもちろんのこと、
出典:リヤドロ公式サイト(Hina Dolls Figurine. Special Version. Limited Edition)
かわいらしさの中に勇ましさもある五月人形もあります。
出典:リヤドロ公式サイト(Warrior Boy Figurine. Golden Lustre. Limited Edition)
さらに、見ているだけで幸せになれそうな、ふくよかな「招き猫」なんてのもあります!
出典:リヤドロ公式サイト(Maneki Neko III Figurine)
5)ディズニーシリーズ
出典:リヤドロ公式サイト(Mickey Mouse Figurine)
最後にご紹介するのは、みんな大好き!ディズニーシリーズ。この完成度なら、全種類ほしくなりますね。愛らしい表情がたまりません!
出典:リヤドロ公式サイト(Thumper Figurine)
いかがでしたか?
出典:リヤドロ公式サイト
リヤドロは、世界中で販売されていますが、生産拠点は現在もスペイン・バレンシア地方のみ。
バレンシアのリヤドロの本社に併設された工房と美術館では、リヤドロ製作の様子を間近で見られるツアーもあります(無料の日本語によるオーディオガイド有)。
そこには、リヤドロ作品が半額近くで買えるアウトレットも併設されているとか!バレンシアの中心部から15分ほどの場所にあるそうです。ご興味があるかたはぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。
Lladró Museum & Boutique(見学は要予約)※英語・スペイン語
住所:CTRA. DE ALBORAYA, 46016 TAVERNES BLANQUES, VALENCIA
電話番号:+34 961 860 421.
営業時間
月―金:10:00 – 18:00
土:10:00 – 14:00
日:休業
もちろん、スペインまで行かなくても日本でも作品を見ることができますよ!リヤドロは全国の主要百貨店にお店を構えていますので、もしかしたらあなたがお住まいの地域で直に目にすることができるかもしれません。
ぜひ、一度足を運んで、あなたの目でそのすばらしさを確かめてくださいね!
参考資料
「すぐわかる ヨーロッパ製陶の見かた」(東京美術)