「マイセンのブルーオニオンは素敵だけど、ちょっと手が届かないし、普段使うのは気が引ける・・・」。そんな風に思う方もいるかもしれませんね。
しかし、大丈夫です!
世界3大ブルーオニオンと誉高い窯の1つ「フッチェンロイター(Hutschenreuther)」なら、憧れのブルーオニオンに手が届くかもしれません!
しかも、このフッチェンロイターは、ブルーオニオン柄の生みの親マイセンから正式にこのパターンを譲り受けて作っているから、正真正銘、正統派のものなのです!
今回は「フッチェンロイター」の魅力に迫ります。
王への8年の説得の末、「いかなるものよりも優れた商品をつくること」を条件に民間の工房として開窯の許可を得た
出典:フッチェンロイター本国公式サイト(Hutschenreuther anniversary collection: Blue Passion wall plates)
フッチェンロイターは、1814年、ドイツのバイエルン地方でカルル・マグヌス・フッチェンロイターによって設立されました。
最初は絵付工房として創業されましたが、近くで白磁の原料となるカオリンが発見され、磁器の工房も設立することになりました。
しかし、当時のバイエルン地方には王立のニュルンベルク窯がすでにあったため、政府は王立窯のライバルとなる工房の設立については首を縦にふりませんでした。
しかし、フッチェンロイターはあきらめません。なんと8年にも及ぶ月日をかけて王を説得。「いかなるものよりも優れた商品を作ること」を条件に、王からバイエルン州の象徴であるライオンのマークを授かり、1822年にようやく正式にドイツ初の「民間の工房」として認可されたのでした。
ライオンは今もフッチェンロイターを象徴するロゴマークとして使用されています。
出典:Wikipedia(Hutschenreuther Osborne Art Studio、過去の製品に刻印されたロゴマーク。現在のものとは異なります。)
マイセンの流れをくむ正統派なのに、電子レンジも食洗機にも入れられるブルーオニオン!
出典:フッチェンロイター日本公式サイト(ブルーオニオン)
フッチェンロイター創設には、マイセンから多くの職人が流入したと言います。
その背景には当時の政治情勢がありました。1756年、ザクセンとプロイセンが戦った「七年戦争」において、マイセン窯の育ての親であるアウグスト3世(=マイセンを作ったアウグスト強王の息子)がフリードリヒ2世(フリードリヒ大王)に負けたことにより、マイセンの優秀な陶工たちはベルリンに連れ去られました。
しかし、中にはバイエルンにとどまった陶工もおり、彼らがマイセンの技術と精神を引き継ぎ、後にフッチェンロイターの大切な担い手となったのです。
その証に、フッチェンロイターには、ブルーオニオンやミラベルなど、マイセンの古典にならったシリーズがあります。
さらに、フッチェンロイターは、ブルーオニオン柄を最初に発表したマイセンから、1926年に正式にそのパターンを譲り受けました。正真正銘、マイセンの匠の技も引きついだのです。
しかし、フッチェンロイターは、ただ、匠の技を引き継いだだけではありません。実用性に優れた工夫もしています。
実は、フッチェンロイターのブルーオニオンは電子レンジにも食洗機にも入れることができるのです!
そのうえ、ブルーオニオンの同サイズの皿で比較すると、マイセンの約4~5分の1のお値段なのですから、お財布にもうれしいですね(2019年7月現在)。まさに「普段遣いができて、手が届くブルーオニオン」なのです。
フッチェンロイターの4大人気シリーズをご紹介
王に8年もの月日をかけて懇願して開窯したフッチェンロイター。その情熱やマイスターの技術を用いた製品の中でも、特に人気のシリーズを4つ紹介します。
1)ブルーオニオン(Blue Onion)
出典:フッチェンロイター日本公式サイト(ブルーオニオン)
最初にご紹介するのは、言わずもがなの大人気シリーズ、ブルーオニオンです。
世界には数えきれないほど、ブルーオニオン柄の商品がありますが、フッチェンロイターは、マイセン、チェコのカールスバードと並んで、世界3大ブルーオニオンの1つに数えられていると言います。
また、ブルーオニオンのモチーフはどれも縁起がよいものであることをご存知ですか?
この絵柄はもともと、中国の染付の器に感銘を受けた絵付師がその図案を真似したのが始まりです。その皿には、ザクロなど、中国のおめでたいモチーフが満載でした。
しかし、当時、ヨーロッパではザクロはなじみのないもの。絵付師がザクロの形を玉ねぎだと思い込み、「ブルーオニオン」という誤訳した名前になってしまったのです。
出典:フッチェンロイター日本公式サイト(ブルーオニオン)
中国では「ザクロ」は、子孫繁栄のシンボルです。また、玉ねぎと交互に縁を飾る「桃」は長寿や不死の象徴。さらに、中央に描かれた「竹」や「菊」は社会的な高潔さや節操を意味します。
絵柄全体が幸せを願うモチーフなのです。使えば使うほど、縁起がよくなりそうですね。
また、このブルーオニオンシリーズのシェイプは、伝統的な雰囲気の「マリアテレジア」。今日まで人々を魅了してやまないクラシカルなフォルムだから、さらにブルーオニオンの上品さが引き立っています。
2)エステール(Estelle)
出典:フッチェンロイター日本公式サイト(エステール)
19世紀末のベルエポック時代にデザインされた、優雅で古典的な印象の「エステール」。5月の晴れた空のような水色が清楚な雰囲気を醸し出します。
フォルムは優美な「バロネスシェイプ」。クラシカルなフォルムと優しいペールブルーの模様で美しさが一段と引き立っています。
出典:フッチェンロイター日本公式サイト(エステール)
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3)バロネスホワイト(Baronesse White)
出典:フッチェンロイター本国公式サイト(バロネスホワイト)
白い肌の美しさが際立つバロネス・ホワイトシリーズ。「エステール」の白いバージョンと言ってもいいですね。繊細なレリーフは、中世の宮殿の晩餐会にいるような気持ちにさせてくれます。
出典:フッチェンロイター日本公式サイト(バロネスホワイト)
4)メドレー(Medley)
出典:フッチェンロイター日本公式サイト(メドレー)
地中海のような深いブルーと、フルーツや太陽をイメージさせるイエロー。そこにアクセントとしてあしらわれている豊かな実を付けたオリーブ。
夏の南ヨーロッパのリゾートを彷彿とさせる、はつらつとしたシリーズです。
シェイプは、ブルーオニオンと同じクラシカルな「マリアテレジア」。明るさと落ち着きの両方を兼ね備えているから、普段にも、おもてなしにも重宝しそうですね。
出典:フッチェンロイター日本公式サイト(メドレー)
いかがでしたか?
「手が届くブルーオニオン」もいいけれど、クラシカルな「エステール」や「バロネスホワイト」もとても上品で素敵ですよね。
ぜひ、フッチェンロイター取り扱いの百貨店や公式オンラインショップをチェックしてみてください!
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参考資料
『ヨーロッパ陶磁器の旅 ドイツ・オーストリア篇』(中公文庫)
『NHK 美の壺 洋食器』(NHK出版)
『Casa Brutus 器の教科書』(マガジンハウス)