「北欧のマリメッコみたいな柄が好き!」「1960年代のレトロなデザインが好き」、そんな方もいらっしゃるかもしれませんね。
アラビアやイッタラの食器も素敵だけど、北欧にはまだまだ他にもすばらしい食器ブランドがあるんです。
中でも北欧スウェーデンの「ロールストランド」はおすすめ!
実はロールストランドはノーベル賞授賞式後の晩餐会でその食器が使用されるだけでなく、スウェーデン王室御用達のブランドでもあるのです!
今回はロールストランドの歴史や、ノーベル賞授賞式後の晩餐会で実際に使われている食器の写真、さらにロールストランドの名作デザインでもあり人気商品でもある3つのシリーズを本国公式サイトの情報を交えて、どこよりも詳しくご紹介します!
これを読めば、北欧デザインの魅力にますますはまりますよ!
東洋の磁器に憧れて設立されたヨーロッパでは歴史の古い窯の1つ
ロールストランドは、世界最大の家具量販店である「IKEA」やアパレルメーカー「H&M」で有名な国スウェーデンが誇る老舗食器ブランド。
1726年、スウェーデンの首都ストックホルムにある「ロールストランド城」で創業されました。
出典:depositphotos.com(ストックホルム)
ロールストランドが誕生した当時、ヨーロッパの王侯貴族は「白い金」と呼ばれた中国の磁器に憧れ、自分たちの手で白い磁器を作りたい!とその製造方法を解明しようとしていた頃。
ロールストランドも例外ではありませんでした。しかし、創業間もない頃は磁器ではなく、白いファイアンス焼(陶土から作られた白い素地の陶器)しか作れませんでした。
マイセンが1709年にヨーロッパで初めて磁器の製法を解明しましたが、それは国家を揺るがすトップシークレット。白い磁器製造の道のりはとても険しかったのです。
さて、ロールストランドの初期の製品はどんな絵柄だったと思いますか?
東洋の磁器に憧れていただけあってなんと、シノワズリ(中国趣味)のブルー&ホワイトの食器や花瓶だったのです!
今の北欧デザインからは想像がつきませんね。このような陶器製の皿が誕生する以前は、金属製の皿で食事をとるのが一般的だったとか。真っ白で美しい模様が入った皿は驚きをもって受け入れられたのでしょうね!
その後、工房は徐々に拡大し、19世紀半ばには食器だけでなく、タイルストーブを生産するなど陶磁器工場として成長を続けていきます。
さらなる販路拡大をしようと、ロシア市場にも打って出るために19世紀後半には隣国フィンランドに「アラビア」の工房を開きました。
1900年、ロールストランドは豪華なプレートや飾り壺をパリの万国博覧会に出品。ここでグランプリを獲得したことにより、ロールストランドの名は世界中に知れ渡りました(ちなみに、その前、1889年でのパリ万博のグランプリは、デンマークのロイヤルコペンハーゲンでした)。
そして、1930年~1960年にロールストランドは黄金時代を迎えます。今日まで受け継がれている名作デザインが次々と生まれたのです(これらの名作デザインは現在の人気シリーズでもあるので、後ほど紹介します!)
ノーベル賞の晩餐会に華を添える!ロールストランドの「ノーベル」(Nobel)
出典:Klässbols Linneväveri official website(Tablecloth and napkins for the Nobel dinner for 28th time)
1991年、ロールストランドは「ノーベル賞」の晩餐会で使用される食器ブランドに選ばれるという栄誉に輝きました!
ノーベル賞の創設90周年事業の一環として、晩餐会で使用するテーブルウエアはスウェーデン製ブランドを使うことになったのです。
全世界が注目するパーティーのテーブルを演出するために作られた食器はその名も「ノーベル(Nobel)」。
出典:ロールストランド本国公式サイト(ノーベル)
金の縁取りが印象的な、気品高いシリーズですね。
この食器は、ノーベル賞授賞式と晩餐会が開かれる毎年12月10日のたった1日だけのためのものなんですよ!
ちなみに、ノーベル賞の晩餐会で使用されるテーブルクロスは「クラスボルス(Klässbols)」、グラスは「オレフォス(Orrefors)」と、どちらもスウェーデン製の有名ブランドが使用されています。
現在、ロールストランドはフィンランドのアラビアやイッタラと同じく、フィスカース社傘下として名作デザインを今に伝えています。
ロールストランドを代表するロングセラーの名作デザイン3選
まもなく創業300年を迎えようとしているロールストランド。
老舗の陶磁器ブランドとして、またスウェーデンを代表する王室御用達ブランドとして、優れたデザインの作品を作り続けています。今回は、中でも人気の3つのシリーズをご紹介します!
1)白地にブルーの花がキュートに咲く!「モナミ」(Mon Amie)
出典:ロールストランド本国公式サイト(モナミ)
どこか懐かしい、けれど洗練された北欧デザイン。ロールストランドの中でも大人気のシリーズがこの「モナミ(Mon Amie)」です。
数多くのヒット作品を生み出してきた「マリアンヌ・ウェストマン(Marianne Westman)」がデザインしました。
出典:ロールストランド本国公式サイト(マリアンヌ・ウェストマン)
彼女がデザインした作品がロールストランドの売り上げの約45%を占める時期もあったとか!才能あふれる女性だったんですね。
そのマリアンヌがデザインした中でも代表的なのが「モナミ(Mon Amie)」シリーズ。このシリーズにはちょっとした誕生秘話がありました。
1940年代後半のある夏の雨の日、マリアンヌは「ラブラドール・ティー
(Labrador tea)」という白い、可憐な花(下記写真)をスケッチしていました。
出典:Wikipedia(ラブラドール・ティー)
大学卒業後、マリアンヌは半ば、しぶしぶロールストランドに入社します。
実は彼女は、自分の故郷で小さな陶器の工房を開くのが夢だったのです。しかし、ある日の1枚の花のスケッチがロールストランドにおいて、まばゆいばかりのキャリアを築くきっかけとなったのです。
このスケッチをもとに作られた、白地に青い花の「モナミ」シリーズは、彼女のデビュー作であり、後に代表作にもなりました。1952年の発表から約70年近い時を経た今も色あせることなく、愛され続けています。
出典:ロールストランド本国公式サイト(モナミ)
現在発売されているものは、2008年のマリアンヌの80歳の誕生を祝って、本人がデザインし直した新生「モナミ」シリーズ。
フランス語で「友だち」や「恋人」という意味のこのシリーズは、その愛らしいデザインや名前から、大切な家族や友達との語らいのときにぴったりですね。
この商品をストアで見る→モナミ
2)素朴さの中にも品がある「スウェディッシュ・グレース」(Swedish Grace)
出典:ロールストランド本国公式サイト(スウェディッシュ・グレース)
ロールストランドを代表する女性デザイナー「ルイーズ・エーデルボーグ(Louise Adelborg)」の傑作で、スウェーデンの国民的人気を誇る食器シリーズの1つ。
それもそのはず、1930年にストックホルム博覧会に出品した際には「国民のテーブルウエア」「スウェーデンのテーブルウエア」とでも呼べるような、「Nationalservisen」という名前で発表されました。
出典:ロールストランド本国公式サイト(ルイーズ・エーデルボーグ)
現在の名称である「スウェディッシュ・グレース(Swedish Grace)」とは、直訳すると「スウェーデンの優美さ、美しさ」という意味。
夏のそよ風にゆらゆら揺れる麦の穂にインスパイヤされ、表面にそのレリーフをほどこしたこのシリーズは、素朴さの中にキリリとした品もあり、普段遣いにぴったりです。
出典:ロールストランド本国公式サイト(スウェディッシュ・グレース)
色も豊富で、7種類。白や黒、深いブルーといったスタンダードな色から、淡いピンクや薄緑系、薄いブルー系もあります。
出典:ロールストランド本国公式サイト(スウェディッシュ・グレース)
3)1960年代の人気シリーズが復刻!「エデン」(Eden)
出典:ロールストランド本国公式サイト(エデン)
最後にご紹介するのは、りんごの断面の絵柄が愛らしい「エデン」。
実はこのシリーズ、ロールストランド創立290年を記念して行われた「ファンが選ぶ、過去40年間の中で一番好きなデザイン投票」で支持を集めて復刻したものなのです!
この絵柄は、キリスト教の聖書に出てくる「エデンの園」でアダムとイブが食べてしまった禁断の果実、りんごです。1960年代に大人気だったレトロなこのシリーズ、復刻版なのでほしいと思った方は、お早目に!
出典:ロールストランド本国公式サイト(エデン)
この商品をストアで見る→エデン
いかがでしたか?
ロールストランドは現在、日本に直営店舗はありませんが、ウェブサイト上ではラインナップを見ることができます。
ここでご紹介した以外にも素敵なシリーズもありますので、ぜひ一度、ウェブサイトをのぞいてみてくださいね。
この商品をストアで見る→ロールストランド
参考資料
※残念ながら、ノーベルシリーズは2015年に製造終了となりました。
Klässbols Linneväveri official website
The Nobel Foundation-Nobel Week Stockholm・2018
「器の教科書」(マガジンハウス)