「山の上の城」という名のカステッラモンテ
北イタリアのピエモンテ州(Piemonte)の州都トリノ(Torino)から車で約1時間、「山の上の城」という街の名前からわかるように、カステッラモンテ(Castellamonte)の街は小高い丘の上にあり、城は街の中心にそびえています。
出典:Obiettivo News (カステッラモンテ城)
現在の城は中世に建てられたものではなく、トリノ近郊のヴェナリア王宮(Reggia di Venaria)を建築した、サヴォイア家(Savoia)の建築家アメデオ・ディ・カステッラモンテ(Amedeo di Castellamonte)が城主となった際に、17世紀頃、古い城を自分の住居として改築したものです。
スイス国境にも近いカステラモンテのそばにはイタリア3大カーニバルで有名なイヴレア(Ivrea)の街が有ります。
イタリアのカーニバルで最も有名なのはヴェネツィアだと思いますが、ここイヴレアでは毎年およそ40万キロとも言われるオレンジをぶつけ合う「バッターリア・デッレ・アランチェ(La battaglia delle arance)」が行われ、カーニバルの3日間の間に総勢3000名がこの“戦い”に参加し、街は真っ赤に染まります。
出典:Italia.it (イヴレアのカーニバル)
陶器のストーブが温める街
良質の粘土が取れることから、カステッラモンテでは古くから日常品としての陶器や置物の製作が盛んに行われていました。
ケルト系の先住民サラッシ(Salassi)やその後この辺りを征服したローマ人にも記録をさかのぼることが出来ます。
中世になると、この辺りで一番有力だったカナヴェーゼ(Canavese)の教会や城の装飾のために陶器が必要になり、カステッラモンテの粘土を使用した陶器工房が多数作られました。
1400年代には街中に大きな2つの窯が存在し、オリーブオイルを入れる大きなテッラコッタ(素焼き)の壺などを大量に製作していたようで、カステッラモンテのテッラコッタの繁栄を示した資料が残されています。
1500年代に入ると洗練されたお皿に制作を専門に行うようになり、1600年代にはテッラコッタの製作は最盛期を迎えます。
1700年にはろくろを使った壺づくりに加えて、「フランクリン(Franklin)」スタイルと呼ばれる耐熱性の陶器を使ったストーブの製作が始まります。
実用性だけではなく芸術性の高いこのストーブによって街の名は一気に有名になり、遠くロシアからも注文が入るようになりました。
戦後ストーブの需要は減ってしまいましたが、現在でも芸術作品として手作りのストーブを作り続けています。
出典:La Fornas s.a.s (陶器のストーブ)
ウーゴ・ナスポロ(Ugo Naspolo)が2008年に完成させた200枚の陶器の白タイルに黒で装飾した、高さ6メートルに及ぶ巨大なストーブが街のシンボルとして広場に置かれています。
出典:nespolo.com(ストーブ型のモニュメント)
トリノでチョコレートに舌鼓
ピエモンテ州の州都トリノと言えばなんと言ってもチョコレート!
特にヘーゼルナッツのペーストが入ったお山のかたちをしたジャンドゥイオット (Gianduiotto)が有名です。
ジャンドゥイオット は最近、日本でもおなじみのトリノのお菓子メーカー「カファレル(Caffarel)」が1852年に考案したもので、現在トリノのカフェやお菓子屋さんの店先には様々なメーカーのものが並んでいます。
そして、トリノに行ったら是非飲んでいただきたいのがトリノ発祥のチョコレートドリンク「ビチェリン(bicerin)」です。
ビチェリンはエスプレッソ・コーヒー、ホット・チョコレート、牛乳から作られるホットドリンクで、グラスの中で層になっています。これを混ぜずに飲むのがトリネーゼ(トリノ人)流。
出典:https://centurion-magazine.com/(ビチェリン)
おすすめのお店はやはりビチェリン発祥の店として知られる「カフェ・アル・ビチェリン(Caffè Al Bicerin)」です。
“発祥の店”は諸説あるのですが、とにかくこちらは創業1763年創業の伝統的なカフェなので一飲の価値ありです。
こちらのお店にはピエモンテの伝統的なデザート、卵黄に砂糖を加えて泡立て、あたためながらシェリー酒・白ワイン・マルサーラワインなどの洋酒を少しずつ加えて煮詰めたクリーム「ザバイオーネ」のドリンクも有ります。
出典:https://centurion-magazine.com/(ザバイオーネ)
ちょっとカロリーが高いのが気になりますが、トリノでしか出会えないので是非お試しあれ!