ヌヴェール|皇后ウジェニーの愛したお菓子と陶器の街

歴史ある芸術の街ヌヴェール

パリから電車で約2時間、フランスのほぼ中心に位置し、ワインで有名なブルゴーニュ地方ニエーヴル県の県庁所在地ヌヴェール(Nevers)。

ロアール川とニエーヴル川の合流点にあり、中世にはニベルネ公領の首都、河港都市として繁栄しました。現在は工業の中心で繊維・化学工業などが盛んな発達した街です。

ヌヴェール出典:Wikipedia(ヌヴェール)

16世紀末から始まる陶器生産は現在も続いており、1975年に設立したヌヴェールファイアンス博物館・美術館にて多くの大事なコレクションが守られています。

ヌヴェールファイアンス博物館・美術館出典:Wikipedia(ヌヴェールファイアンス博物館・美術館)

また、ヌヴェールの町の中心部には、歴史ある観光スポットが多くあります。

サン・シール・エ・サント・ジュリエット大聖堂(La Cathédrale Saint Cyr et Sainte Julitte) 11~16世紀に建てられたロマネスク様式とゴシック様式が混在した特徴的なユニークな建物。

サン・シール・エ・サント・ジュリエット大聖堂出典:Wikipedia(サン・シール・エ・サント・ジュリエット大聖堂)

1944年の戦火でかなりのダメージを受け修復を繰り返し、今の大聖堂のステンドグラスはとてもモダン。大聖堂の佇まいとステンドグラスが対照的で素敵な大聖堂はヌヴェールの街の象徴と言えるでしょう。

サン・シール・エ・サント・ジュリエット大聖堂出典:Wikipedia(サン・シール・エ・サント・ジュリエット大聖堂)

他には、11世紀建立のサンテティエンヌ教会。この教会はフランスの歴史的記念物に登録されている建設当時の姿を残す珍しい11世紀の教会です。

サンテティエンヌ教会出典:Wikipedia(サンテティエンヌ教会)

そしてヌヴェールのガストロノミーも忘れてはいけません。

ヌヴェール土産と言えば、ヌガティーヌ(Nougatines)という水あめキャンディーのようなボンボン。ナポレオン3世の妻ウジェニーが皇帝とヌヴェールを訪れた際に気に入り、のちに大量発注したことにより、パリやフランス中にヌガティーヌが有名になったとか。

ヌガティーヌ出典: http://www.nevers-tourisme.com/(ヌガティーヌ)

もう一つはファイアンソン(Faïençon)という見た目はマカロンのようなチョコレート。アイボリー色にブルーの色合いで覆ったそのチョコレートはまさに磁器の街ヌヴェールのお土産です。

ファイアンソン出典: http://www.nevers-tourisme.com/(ファイアンソン)

他にもブルゴーニュ産のワインとシャトレー牛など極上グルメの街です。

 

ヌヴェールの有名人と言えば?

ヌヴェールではこんな人物も有名です。ヌヴェールに眠る聖女ベルナデッタ・スビルー。

南仏のルルドで聖母の出現を体験。写真に撮られたカトリック教会の最初の聖人であるベルナデッタは35歳の若さで肺結核で亡くなりました。

ベルナデッタによって発見された泉の水によって不治の病の治癒例が多く見られ、教会が公認したものだけでも68例にのぼったそうです。

ベルナデッタ・スビルー出典:Wikipedia(ベルナデッタ・スビルー)

19世紀フランスの著名な作家、アンリ・ラセールの「ルルドの聖母」はベストセラーとなっています。後にヌヴェールの愛徳女子修道会の修道女となりました。

日本でベルナデッタが有名になったのは、1943年のヘンリー・キング監督の映画「ベルナデットの歌」 。邦題名は「聖処女」が戦後に公開されたこと。また2012年には劇団「ミュージカル座」による「ルルドの奇跡」で日本の演劇史にベルナデッタが初めて取り上げられました。

ヌヴェールにある聖女ベルナデッタが眠るサン・ジルダール修道院は、カトリック系の方が多く訪れる名所になっています。

サン・ジルダール修道院出典: https://www.lourdes-france.org/message-lourdes/サン・ジルダール修道院

 

ヌヴェール陶器の歴史と現在

ヌヴェール陶器の始まりは、16世紀の終わりごろ。イタリア出身のフランス政治家ルイ・ゴンザグ王子の貢献によりイタリアの陶器がやってきたところから始まります。

始めのころのヌヴェール陶器はイタリアンスタイルで、多色装飾。青の下地に白で装飾が描かれています。まれに緑やオレンジ、白の下地に緑での装飾もあります。

ヌヴェール陶器出典:Wikipedia(イタリア風のヌヴェール陶器、1600年頃)

17世紀ごろからの装飾は伝統的なものだけでなく、ペルシアの装飾も取り入れます。

ヌヴェール陶器はカマイユ技法(単色の明暗のみで描いた浮き彫り効果)の発達、特に下地が青のカマイユはペルシアの装飾の際に使われました。

柄は花や鳥などトルコのイズニクの陶器に影響を受けています。

ヌヴェール陶器出典:Wikipedia(ペルシア風のヌヴェール陶器、1670-1680年頃)

また、17世紀には中国との商業がさかんになり、シノワズリ(中国装飾)の陶器も造られました。

ヌヴェール陶器出典:Wikipedia(シノワズリのヌヴェール陶器、17世紀後半)

17世紀と18世紀にはこのヌヴェールでの陶器はフランスの「陶器の首都」と言われるほど発展します。全盛期のこの頃には、12のヌヴェール窯が稼働していました。

18世紀になるとヌヴェール窯の減少とともにヌヴェール陶器は価値を増します。フランス革命など時代を通して、愛国が特徴のヌヴェール陶器も多々造られました。

ヌヴェール陶器出典:Wikipedia(貴族と聖職者を描いたヌヴェール陶器、1791年)

19世紀に入り、経済状況の悪化で窯はたった一つになりますが、現在はヌヴェール陶器を守るべく5つのアトリエでヌヴェール陶器を造り続けています。

現在、 ヌヴェール の陶器博物館を訪れると、ヌヴェール陶器(ファイアンス)の製造工程を学べます。また、観光案内所やホームページを通して予約制の工房見学も可能です。

ヌヴェール を訪れた際には、ヌヴェール陶器の出来上がる様子を間近に体験してみてはいかがでしょうか。職人の匠の技に歴史を存分に感じられることでしょう。

 

参考資料

http://www.nevers-tourisme.com/la-faience/